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Soui-Renn -A Figure of Impression-

共同制作:切江志龍 + 石田翔太
期間: 2019
日本画

画家モネはジヴェルニの自宅にある日本風庭園で『睡蓮』の連作を描いた. 絵画の中において自然で神秘的な雰囲気を放つそれらの睡蓮は,ベルエポック期フランスにおける育種技術と列強の経済構造がもたらした品種,そして新大陸の原種であり,その在り様は現代の生活の中で存在感を増していく生物工学のしたたかな萌芽,そして非実用性にもかかわらず愛でられるために改良を続けられる花という存在とわれわれのあいだの奇妙な関係性を象徴するかのようである.

本作は東京の大学で生物学の研究をする切江志龍と京都を中心に活躍する日本画家・石田翔太との合作である.切江はLatour-Marliac社との協力関係の下,DNA配列や理論的モデリングに基づいてこれらの睡蓮のいわばデザイン過程を明らかにしようとしている.このプロジェクトにおいて石田は切江の研究とモネの絵画,そしてLatour-Marliac社の風景を現代的な日本画として結びあわせ提示する.圃場の風景は解析の数理的なイメージと入り混じり,日本的美意識(the tradition of Japanese aesthetics)に基づいた独自のパースペクティブにより解釈し再構築される.そこで提示されるのは「品種」という人工と自然の境界であり,美的選抜を通じて人工的な進化を続ける花という存在に対する謎であり,そして「なぜ人は花を愛でるのか」というみずからへの根源的問いである.

園芸と芸術によって結ばれた日本とフランスの郷愁を映した光景は,生物工学をはじめとする科学技術への期待と懸念の混じる未来的視座と,今ここにある一瞬の「印象」を捕えようとしたモネの絵画世界と合わさり無時間的に結晶する.

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