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​​「人が駆動する進化」としての園芸

 花は,被子植物の生殖器官として進化を重ねて多種多様な姿を持つに至りました.一方で人間はその色や形を愛で,ときに新しい特徴を示す花を生み出します.人為的に植物を選び,交配することで新たな花を生み出すプロセスは原理上,ダーウィン的な進化と同じです.その意味で園芸とは,人間やその文化が強力な淘汰圧として働くことによるオープンエンドな進化の促進に他なりません.したがって花の選抜は審美的な要素に多分に影響されると考えられます.私はこのような主観的な基準に影響されながら,花の造形がどのような過程を辿って「進化」してきたのか研究をしています.​研究の題材にはモネの絵画にも所縁のあるフランスのスイレンの品種群を用いています.

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​​理論形態モデルを用いた解析

 研究では形態の解析をメインに取り組んでいます.解析には理論形態モデルを使っています.これは花の形態を数式で表現し,パラメタを変えることで多様な形態を表現することを可能にしたものです.可視化される形態は現実に存在するとは限りませんが,「ありうるかたち」を操作することで現実の花の構造について様々な解析を行うことが出来ます.実際には,本物の花を測定して得られた測定値と組み合わせて解析を行うこともあります.複雑なスイレンの花の構造を自由に解析できるプラットフォームを開発することが現時点での目標です.

​​花型記述によるモデルの制御

 理論形態モデルで現実の花の特徴を再現するには多くのパラメタが必要になりますが,パラメタが増えればモデルの扱いが煩雑になるというジレンマがあります.これを解決する一つの方法は,パラメタをうまくまとめて花の形態の特性を実質的に少ないパラメタで表現することです.私は園芸カタログの記述を用いることで,花の特徴をとらえつつ効率よく花形態を表現する方法を検討しています.

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