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  • 執筆者の写真Shiryu KIRIE

ゆるふわ生物学チャンネル補足

ゆるふわ生物学チャンネルでの配信( https://youtu.be/Xa-kIzgoXRw )をご覧になってくださった皆様ありがとうございました!


(まだ見ていない方はぜひにURLから見てみてください!長いけど......)


Youtube配信というかたちは僕にとっても初めてだったので,とても新鮮な体験になりました.慣れるまでちょっとぎこちなかったかな?という反省もありますが,途中からは夢中になってしまいました.こちらの機材の都合もあり,僕自身は話しているときコメント欄をチェックできていなかったのですが,運営の皆様の話題振りに身を任せるままに楽しい時間を過ごさせていただきました(運営の皆様ありがとうございます!).視聴者の方にも楽しんでいただけていたら何よりです.(そしてゆるふわの他の動画もチェックしてみてください! https://www.youtube.com/channel/UCjo-hXH1PX8Ls4sj6OAAcug


ところで,配信修了後にアーカイブからコメント欄をチェックさせていただいたのですが,コメントの鋭さ(とやさしさ)にものすごーーく感動してしまいました.実際プロのコメントか!?というのも結構あったり,びっくりするくらい感性が鋭い方もいたり,ジョークもあんなに拾ってくれて......大好きです.結果的に午前4時くらいまで延々観てしまいました.



ではでは,以下FAQです!


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Q ​美学ってなに?(aika hujiさま他)


A 耳馴染みがないだろうと思いつつ,十分な説明ができてなくてすみませんでした.美学(Aesthetics,感性学とも)は,感性,美,芸術等について哲学的な考察をする研究分野で,バウムガルテン(1714年~1762年)により創始されました.その内容は非常に多岐にわたりますし時代によっても変遷しますが,いわゆる「美術館にある美術作品の批評」にとどまりません.(日常の何気ないものも含め)さまざまな感情的価値や文化の意味について考察し,〈感覚〉という言葉にならず分かり合うことが難しい「なにか」について,体系的に言葉に紡いでいこうとするような試み,だという風に解釈しています.


より深く知りたい場合,個人的には佐々木健一『美学への招待』がおすすめです.


Q バイオアートって何するの?(高田さま)


A 定義はいろいろですが,現代美術のジャンルの一つで,生命科学(や生物学,あるいは生命そのもの)の概念や素材を取り入れた作品群や,そうした作品のムーブメントと理解しています.バイオメディアアートとも呼ばれます.百聞は一見に如かずということであれば,ウィリアム・マイヤーズ『バイオアート バイオテクノロジーは未来を救うのか』をご覧になることを勧めます.


Q つまり美しいのイデアを花の中に探してる人?(FGO勢ヒガモンさまほか)


A 微妙な取り扱いの要る良い質問ですね.端的にお答えすると,「文脈による」です.

配信中では「イメージ」という言葉を多用していたかと思います.「イデア」という言葉を使うとどうしてもプラトン的な意味がつくので,そういったニュアンスをまずは抜きにしてほしい時には,「イメージ(とかイマージュ)」を使うことが多いです.「イメージ」は「イデア」のほうが適当では?という旨のコメントもありましたが,これはこの方がそのように解釈されたということで,それ自体否定しません(し,そのように解釈されたということは非常に参考になります)が,必ずしもふさわしい状況ばかりではないと思います.大まかには,科学研究としてはあまりイデアは追っていないですね.日本画作品だと,ややイデア的かもしれません.


Q ハスとスイレンって違うの?(たぶんたくさんの人)


A すみません.ちゃんと説明したほうがスムーズでしたよね.......

生物学的には(というかAPG体系という分類では),これらの植物はかなり異なる素性の持ち主だということが定説です.かたちがよく似てるのは,生態がよく似ているために生じた他人の空似です.ちなみにハスはヤマモガシ目で,ススガケノキと同じ目です!


Q 中国は牡丹のイメージ強かったけど薔薇もあったのかぁ(高田さま)

  薔薇って中国から来たのか!(FGO勢ヒガモンさま)


A 牡丹いいですよね.観賞される花としては牡丹の改良史は非常に古いとされています,が,僕はほとんど知らないのです.不勉強ですみません.というのも,昔の中国の図譜や文献は中国語のものも多く,言語の壁が高いのです.なので西洋の園芸植物ばかりになってしまっています.薔薇はもちろんヨーロッパにもいたようですが,改良史という点で見ると東洋のバラが革命をもたらしたのは確かのようです.日本のノイバラやハマナスなども持ち込まれたそうですよ.


ところで,園芸文化史を調べると地域性が高いというか,なんでも英語で読める,という状況からほど遠いと思います.こういうローカルな英知についてガシガシ研究を進めていくには人文系のパワーが不可欠だと感じます.日本はそこそこユニークな園芸文化もありますし,特色ある研究で世界に打って出ることも可能な宝の地図だと思うのですが,いかがでしょう?


Q 花ってグロいイメージもあります。(赤倉清胤さま)


A とても鋭いですね.花の「グロさ」もまた反転して観賞価値として成立しうる,というのは面白いポイントですよね.中尾佐助という植物学者は文化的に成立する観賞価値として「異国趣味」「矮小趣味」「奇形趣味」を挙げています.わかりやすい美しさだけではない,という意味では現代美術の鑑賞にも通じるものがあるかもしれませんね(実際,生物の改良を扱った作品はいくつもあります).

また配信では触れられませんでしたが,花は「死」を象徴する存在でもありますし,愛されるばかりでなく「忌み花」として疎まれるものもありますから,そのあたりも総合して考えていけたらとても興味深いものになると思います.


Q 杉の花とか美しくないですね 恐怖の対象ですね(幸鳴使弧竜)


A このコメント好きです(笑).でも花粉が一気にばらまかれる光景はかなりダイナミックで見ようによっては壮大な美がありますよね.桜吹雪みたいな......(恐ろしい......).人類は杉を荒ぶる「自然」の猛威として畏れ敬えるかもしれません(笑.杉の花を美しいと考える文化は考えられないでしょうか......?)


Q 花の美しさについては、そもそも生物としてのヒトの感性自体が花を好ましいと思うように成った可能性もあるかなと。栄養があるものを甘いと感じるようになったみたいな(認知心理学出身者並感)(景様)


A はい.進化生物学的なきっかけとしてはありえそうですよね.特に花は果実の前触れなので.たしか中尾佐助(前述)もそのようなことを書いていたような気がするのですが......ちょっと記憶が曖昧ですみません.このあたり,心理学とかではどう考えているのでしょう?とても興味があります.


Q 花って生殖器官というより媒介者へのアピールって感じじゃね?(甘木糺野様)

  そんなこと言ったら昆虫に受粉させるのどうなるんだよ(こもるん様)

(なぜヒトは植物の生殖器を美しいと感じるのか)


A おっしゃるとおりです(笑).そう考えると,そもそも「花が動物を引き寄せる」という能力があることそのものがまず不思議だなあと思うのと,続いて「ヒトと虫はどう違うのか」ということが問題になります.これらの問いに対する解答例としては,虫の場合は(原則的に)蜜という「報酬」が与えられるので,花の外見的特徴と紐づけてアピールが成立するという図式で理解可能なのですが,人間の場合は(直接的には)ほぼ利益がないので,それを理解していながら「植物の生殖器形態を変化させる」という事実には,まだ謎が残ります.しかもヒト,お墓にお供えしたり,束にして他の個体に渡したりしますからね.謎.


Q えっちだって言う人がえっちなんですよ!(植物学と女性について,赤茄子玉葱様)


A これ面白いですよね.ぱっと出てこないのですが,ちょっとまとめてどっかに文献リストつくろうかな.......特に女性教育・ジェンダー観と植物学はとても興味深いテーマだと思っていて,僕も深堀りしたいと思っているのですよね.絶対面白いと思うんですよこれ(えっちじゃありませんよ).


Q (花の)面積とか大きさで花びらの枚数変わるの?!(ドライオン様)


A すみません.研究不足なんですが,相関はありそうかと......もちろん,種による差も大きいと思います!


Q 万博から何年後ぐらいなんだろう(三田義男様)


A Latour-Marliacの出品は1889年で,モネがスイレンを最初に買ったのが1894年だそうですから,5年後ですね.


Q (モネは)蓮は育てられなかった……(赤倉清胤様ほか)


A 意外とこのエピソード気に入られたみたいですね(笑).一応,彼の名誉を守るために僕の知っている範囲で補足します.


まず,モネが1894年に5品種のハスを買ったことは記録にあります.そしてその後スイレンは買い足しているのですがハスはそうではありませんでした.これも記録上の事実です.ただし,改めて調べてみると僕が「モネはハスを枯らした」と発言したのはもしかするとちょっと勇み足の可能性もありました.というのは,モネが買ったハスがその後どうなったのかを記した記録に,僕は直にアクセスしたわけではないのです(存在しないかもしれません).Latour-Marliac社の公式ページの中にはモネのハスは結局(in the end)根付かなかった(did'nt take)と読める記述があり,これを根拠に発言したつもりでした.


しかしこれだけで「枯らした」というにはちょっとかわいそうな気がしてきました.この読みがあってるとしても,数年頑張ってみたけどやっぱりだめだった,かもしれないし,途中でスイレンのためにハスはやめてしまったのかもしれないし,もちろん全然ダメだったのかもしれない.結果としてはモネのハスが表舞台に上がらなかったのは事実だし,おそらく結果的には枯らしているのですが,ちょっとフェアじゃないなあ......と反省しました.すこしエピソードのインパクトに引っ張られてたかもしれません.モネさん,ごめん.


Q 知識で美術鑑賞の解像度が上がる…!面白いですわあ!(麩菓子菓子様)


A そうなんですよねー.現代美術とかも「感じる」より「考える」が重視される作品があるわけですが,モネの絵もそんなふうに「理論的に考える」対象にしてみたっていいし,そうすることで初めてわかることも多いと思っています.


Q ​pixiv見てるんですかwwwwww(高田様)


A 大好物です.


Q ピンクの睡蓮は、仏教絵の影響もありそう(ドライオン様)


A !!!!!その発想はなかったです!ハスとの混同(とか偉そうに書いてますが,生物学者もそれに気づいたのは21世紀になってからです)からの,スイレンの描画の慣習に影響ってことですね.


Q お釈迦様が載ってるの、ハスなんだ・・・恥ずかし(ょっょぃ様)


A ところが,必ずしもそうではないのです.インドではハスもスイレンも同じように扱っていました.特に月とともにハスが描写されているときは大体夜咲きのスイレンだと思われます.ちなみにインド以西ではロータスは睡蓮で代用されているようです.これはたぶんシルクロードの影響もあるのでしょう(草津市立 水生植物公園みずの森 https://www.seibu-la.co.jp/mizunomori/ の展示ではこれをロータス文化,と表現していたと記憶しています).


Q スイレンのミームについて(いろんな人)


A 「スイレン警察」はジョークなわけですが,念のために(野暮ですいません......)書いておくと,僕はピンクの(園芸品種がモデルと思しき)スイレンを人間の痕跡のない自然風景の中に書いていてもほとんど気にしませんし,「正しく」書くのが正解だとは全く思ってません(そのことを知っていて,選べることは大事かもしれませんけど).むしろ人間の想像の世界を垣間見れるので,気にせずばんばん描いてほしいです.だれも見たことがない「ぼくの/わたしのかっこいいスイレン」は見たいですしね!(イメージのかたちが大事,というのは園芸文化もつおもしろい側面ではないでしょうか)


Q 分解理解再構築 鋼の錬金術師で聞いたやつだ(幸鳴使弧竜さま)


A 君のような勘のいいガキは......大好きです.オリジナルだと「理解,分解,再構築」ですね.先輩にスライド見てもらったときに「こんなフレーズがぴったりだと思うよ......!」と言われて採用しました.


Q ​L-Systemみたいなやつなのかな(数理モデルについて,皿川様)


A このコメントだけじゃないのですが,かなり専門知識が豊富な方が多くて本当に驚きました......絶対プロがいっぱいいる.恐るべしゆるふわ.

このモデル自体はL-Systemではないのですが,数理的な形式化という意味ではL-Systemは応用できるかも,と考えています.実際,後で出てくるPlantGLではL-System関連の機能が対応していて技術的にもきれいに接続ができるのではないかと思います.


Q 花びらは別モデルね、複数のモデルの組み合わせかな(蒼樹_[souju]様)


A まさしく,そのモジュール性と階層性がこのアプローチのミソです.


Q ​ボクの考えた最強の睡蓮を作るために組んでるってことですかね?(霧雨霊夢さま)


A いつかは作りたいですし,その検証実験をいま計画中です,が,モデル自体はいろいろ使えるはずです.あとはやはり改良史を理解するために使いたいというのが大きなモチベーションですね.


Q 新しい形の花をデザインして遺伝子を逆引きしたり出来るようになるんかな?(Q ta様)


A これできたらめちゃめちゃかっこいいですよね.教員にも「これできたらカッコいいよぉ......」と言われ続けて,カッコいい研究したい僕はすごく頑張りました.しかし今のところはできてません.とはいえいくつか理論的には可能そうな方法はあるので,まだまだ地道な研究が必要かと思います.


Q 一般の人に伝えるための手段?ってことですかね?(こぐれ様)


A 結果的に研究自体でリーチしづらい人に伝わる,ということはあるかもしれませんね.とはいえこの前後で説明させていただいた通り「伝える」ことがアートの目的,ではないと考えています(この点を強調したく,敢えて取り上げさせていただきました).


Q カニの味?(バロメッツについて,yasuhiro tojima様)


A もしやバロメッツ愛好会の方ですね?なぜかバロメッツ,カニの味らしいですよね.そのあたりも盛り込めばよかったなあと感じています.......


Q ポケモンでこれからバロメッツモチーフがいるので、これからポケモン生物学で話題になりそうなやつ(幸鳴使弧竜さま)

もしかしてエルフーン?(さめかわいい様)


A エルフーン,僕すごい好きなんですよねえ......


カワイイ......


Q 実際にあるものから描かれたモネの睡蓮と、ないものから描いたこうであろうという睡蓮の対比ってことです?(絵画作品について,赤茄子玉葱さま)


A そうとも言えなくはないですね.....まず,その点をおさえて頂けたのは素晴らしい発見かと思います.その上で,では「モネの睡蓮」は「実際にあるもの」なのだろうか?という質問を返すことができます.お話の中で触れさせていただいたように,モネの絵画には「テーマパーク」的な側面があるのでは?と考えています.彼が見ていたのはありのままの風景なのでしょうか?そして「ないものから描いた」数理モデルのスイレンは「ない」ものなのでしょうか?(お見せした通り,モデルはそれなりに多くの観察から作られています.その意味ではモネに劣らず花を観察しているはずです)


いつか作品を見る機会がありましたら,またご感想を聞かせてください.その日が来るのを楽しみにしております.


Q そこにある何かを感情で見たものが芸術で、理性で見たものが科学?(赤茄子玉葱さま)


A そういった見方もあります(ありました).が,果たしてそれが(現代において)事実を反映しているかというと疑問符が付くと思います.


たとえば芸術に関しては,少なくない現代美術作品が理性を動員することを求めます.つまり作品を感性ではなく理性で解釈するというプロセスが重要視される作品群です(こういったものを美術作品として認めない,という方もまれにいらっしゃるのですが,それは現象を素直に受け入れられていないのでは?と思います.現にそのような態度で作品に臨むということは現代美術においては普通に受け入れられていることだからです).


また,科学が純粋に理性でみるだけのものかというと,それも必ずしもそうではないのでは?と考えます.以前,関連する企画を数理生物学会で「数理生物学の生命観」というタイトルで開催したことがあります.講演は文字起こしし,アカデミストジャーナルに記事として投稿しました.プロジェクトページと共にリンクを貼っておきます.


この企画は,数理生物学者と,生物を素材に作品を作っている美術作家の両方に登壇していただき,その考え方の違いや共通点を考えてみよう,という趣旨でした.数理生物学者が何らかのモデルをつくるということは,対象の特徴や本質をとらえ「表現する」という側面があり,それは画家が技巧を凝らして対象を描くことにも似ているのではないか,というのが私の考えです.


Q 美と愛でるを科学の目でやる感じ(蒼樹_[souju]様)


A この表現がとても気に入ってしまいました.実際,機械の目で美しい花に対峙すると何が見えるか,というようなたとえをしたこともあります.


Q この研究で睡蓮の美しさの理由とかは分かったんですかね?(こぐれさま)


A 鋭いご質問です.結論は,「わかりません」でした.

鋭い,といったのはこの質問,まさに博論審査会で同じ質問をされたからです.その時は以下のように答えました.


そもそも,「花の美しさとは」という問いは,それ自体に明瞭な答えが出ることを期待している問いではありませんでした.というのは,美しいというものを明確化することはほとんど不可能だと考えられるからです.その意味で,この問いは初めから一種の方便です.

しかし,歴史の中には美しいという気持ちを共有しながらさまざまな品種を作り上げた人たちがいます.これは事実です.その作業過程で生まれた花を解析し,垣間見えたもののなかに彼らの求めた「美」が宿っていると考えるのは楽観的でしょうか.花のかたちのなかに萌した「美」自体はとらえられずとも,その媒介としての「かたち」についてはわかるかもしれません.そしてその解析のための手法は当初の予想を超えて見通しが立っています.


(実際には,配信のタイトルなどもきちんと沿った内容で話せてないかもしれませんね......いかんせん台本がないので,皆さんの反応を受けて身を任せていった結果です.そしてだからこそたどり着けた話題がたくさんあり,本当に今回はやってよかったと思っています.)


補足 現代人の生命観の貧しさについて(切江の発言)


A 「ポケモン」の世界はすさまじいオーバーテクノロジーを持っていながら一見不安定な動物(?)を労力化している節があり,また愛玩動物的でありながら友人のような付き合いもあり,不思議な世界観です.この世界の合理性(というか,もっともらしさ)は,考えれば考えるほど謎が多く,特に現代的な経済効率で採算をとると整合的ではありません(もちろん,ゲームなので).


逆に思考実験としてこれが成立する理由を考えると,僕たちはほとんど無力に思われる,そしてそれは価値基準として真っ先に「経済的採算」が思い浮かぶからではないか,つまり僕たちはこの点において「貧しい(=非常に物質的かつ画一的な価値観を強く思い浮かべてしまう傾向がある)」感性しかないのだ,という旨のことを言いました.

また,逆に「ポケモン」世界の住人が我々の世界の「リアリティ」を考察したら,案外簡単にやってのけてしまうのではないか,とも言いました(より複雑で多様な価値観が予想されるから).もちろんここでの「ポケモン世界」は異なる時代・地域の隠喩であり,「ポケモン」は園芸における花のことです.この対比構造は完全ではありませんが,しかしずっと気になっている問題です.


ここで補足しておきたいのは,「貧しい」という言葉をあっさり使ってしまったためです.いうまでもありませんが,これは特定の人物や文化を指して言っているのではなく(主語は明確に「僕たち」としてますね),さらには価値基準としての「経済的効率」を否定するものでもありません(それがないと生活が回りません).むしろここで言及したいのは,僕たちの周りには「かわいい」「かっこいい」「ここちよい」があふれているにもかかわらず,その実態にはほとんど考えを巡らせる機会がないのではないか,という反省です.感情という価値が猛然と消費されていくさまは色々なところですでに批判されるところではありますが,誰かに花一輪ささげる理由や,「新種の」驚くべき花を生み出す情熱を説明するのにいったいどれだけいろいろな説明が用意できるのだろうか?そしてそれこそが文化であり,ヒトの位置を測る物差しではないのか?という.......はい,ポケモンの話です.


しかし,一方で「ポケモン」の世界に対して大きな(明確にそれがフィクションであるという以上の)違和感を持つことはあまりないので,そのあたりはゲーム世界としてすごくうまいですよね.そういう意味では常識的な範囲で異なる生命や他者との「共存」「共生」についてある種のユートピアを描けている,ということなのかもしれません.身の回りの生き物を視野に入れたとき,どんな世界観を僕たちは描けるのでしょうか(それは当然キレイごとだけでは済まされないでしょう).


Q エジプトまで遡ると睡蓮だけで何かを言うのは難しそう(羊飼いの財布さま)


A まさしくおっしゃる通りです.前述のように,もともとローカル性が高い分野ですし,睡蓮だけであらゆる側面を代表させるは不可能でしょう.


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